HIROYUKI KURODA vs TAKAHASHI
東京 表参道にサロンを構え「資生堂」「GATSBY」等のプロジェクトにも携わる Digz Hair 黒田博幸氏。
名古屋市内2箇所にサロンを構え、雑誌等で活躍している ディレクター 高橋氏。
人を美しく魅せるプロの2人がオトナのメンズヘアーとスタッフ教育を語り合った。
−まずは近況等を教えていただけますでしょうか?
黒田博幸(以下 黒田)
色々な方とのご縁もあり、DigzHairというサロンを今年3月に表参道にオープンさせました。
実はお店の場所は初めて美容師になった店から5mくらいの場所にあるんです。
運命めいたものを感じますね。ですからもう一度原点に戻って、もう一度きちんと勉強しなおそうといった意気込みです。
今回のサロンをオープンするにあたり実は広告的なものは一切出していないです。
だから10年かかるかも知れないが、お客様が本当に喜んでもらえるものを作る。
その来てくださるお客様が宣伝マンなんですよね。昔から来てくれているお客様に恩返しをしたくて。
カリスマ美容師という言葉がありますが、本当の「カリスマ」はお客様が作り上げてくれるものと思います。
美容師になって20年ですが これからも30年、40年と現場にいたいと思います。
ディレクター高橋(以下 高橋)
現在八事と矢場町で2店舗を運営しています。
美容師しながら ヘアメイクしたい子を集めてお店を開きました。
元々は東京で色々な方とお仕事ていて、やっぱりヘアメイクだけをやりたくて当初は名古屋に帰るつもりは無かったんです。
でも転機があって、ヘアメイクに飽きたわけではないけれど名古屋に戻ろうと思って友人と今のサロンを始めました。
ウチも広告を出していないんです。そこは黒田さんと同じ考えです。
始めのお店は八事にお店を出したんですが、そこで心がけていたことは1つで、シャンプーやマッサージ等の基本的な事、当たり前の事をきちんとする。それだけですね。
黒田:そうですね。俺がやってあげているんだ!と天狗になりかけた時期も正直ありました。
そんな時に雑誌「JJ」の仕事をレギュラーでしていても、結局は自分の技術不足を感じました。
そんな時に「JJ」の担当さんがメンズ誌へ移動になり、自分もメンズの仕事へと変化していった。
この移動がメンズの面白さに気がつくきっかけになったんです。
実は地元(与論島)で、丁度髪型とかに興味を持ち始めた頃に近くの床屋さんに、ドレッドに髭を伸ばした美容師がさすらって来ていて、すごくその姿に憧れて、「あなたみたいになりたいです」って話したんです。
でもその人に「これからは美容に目を向けた方が良い」っていわれて、それから美容師を目指して上京し頑張ってきました。
メンズに移ってから、モヒカン、アシンメトリーなど 雑誌の編集さんたちと一緒に新しいものを作り上げていけたから、そこがまた面白くなった。
縁あって「GATSBY」のプロモーションをやるようになった時も、そこでもまたメンズの世界の思い白さに気付かされました。
今でも色々な雑誌の編集さんに「誰か上手い人知り合いいない?」って紹介してもらって上手い人のところへ通って技術等を勉強しています。
−では、メンズの面白さは?
黒田:女性は髪形にビジョンがあるんですよね。「こうなりたい!こうしたい!」って言うものがある。
でも男性は「お任せで」って感じでこちらから提案できる部分がすごくありますよね、だから男性はガラッと変われる要素を持っている。そんな部分です。
今のサロンの実際お客様の 4割から5割メンズ。
− 名古屋のオトコの髪型への意識は?
高橋:ウチのサロンは年齢層高めなので、結構レオンとかZINOとか読まれている方がいらっしゃいます。
いい服着て、いい物を身につけているけど髪型だけがダサいとか、イマイチとか(笑)
とにかくビジョンがない、なんとなく流れている人が多いのでやっぱり「お任せします」が多い。だからある種やりやすいんだけど・・・。
もっとチャレンジしても良いのではって思いますね。そう考えるとやっぱり女性は難しいですね。
黒田:うん。ちょっと失敗かな?って思っててもすごく気に入ってくれていたり、逆に上手く仕上がったのに次に来てくれなくなるとかあるよね。
/高橋:ある。ある。
黒田:同じ髪型、同じ色でってお客様が女性は多い。
毛先を少し切ってだけとか。
ビジネスとして時間コストなど考えると大切な所なんだけど、お決まりのパターンは切っている方も飽きちゃうからガツンと切りたくなる。
でも、男性はその眼鏡変えた方がいいんじゃない?というアドバイスまでも忠実に護ってくれる。なんかうれしくなりますね。
−髪を切って変わったという印象に残る人はいらっしゃいましたか。
黒田:30歳後半くらいのお客様で髪を切って結婚ができた!人とか最近いました。
印象が変わったからなんですかね?
そしたらこのサロンで髪を切ったら結婚できるみたいに言われてて(笑)
確かに雰囲気も明るくなったし表情も違って見えましたね。
行くと元気になれる、プラスになれる店が作りたいって思ってますからうれしかったです。
20〜30代後半の男性に、友達には相談できない生き方を相談される事が多いです。
人間がどう、オトコとはとかね。
高橋:そういえば僕も、八事に住んでみえる上場企業の専務さんが「アフロにしたいんだけど」っていらっしゃった。
「本当にしていいんですか?」って確認して、それでもして欲しいといわれたのでアフロにしたら3時間後にお店へ再度いらっしゃって、「社長に叱られた。」と、 ゆるいアフロにされました。
どうも、ご自分の中で目覚めたらしいです。
何かのきっかけで変わった人がとにかく多いですね。
−道具が大切なお仕事ですが、愛着の道具に対する思いは?
黒田:道具に対する思いは強いですね。他人のはさみだと手を切るし。
自分の道具であれば極端な話、よそ見をしても、目をつぶっていても切れるけど、人の道具だったり、自分のはさみでも研ぎたてだったりすると手を切ったりする。
研いだ後すぐは、コンマ何ミリ変わるので数週間使わないと感覚がつかめないんです。
実はコレじゃなきゃ嫌だからって、使っているハサミが廃盤になる前に金型師にお願いして金型とって別のメーカーで作らせました。
もう身体の一部だから変えられないですね。
高橋:筆もありますね。
物によってまず筆圧が違うし、パウダーの載り方とかも違ってくるんです。
僕が今使っているはさみは実は10何年前もの。
初めて買ったものを愛用しています。
そこのメーカーが潰れて、手に入らなくなってしまって、ネジ部分も一度壊れて。
途中で40万くらいするはさみ買ったけど、やっぱり使えない・・・
結局ネジ部分を直してもらって、新しいものは結局お蔵入りにしました。
−お客様とコミュニケーションをとる中で気をつけてることってありますか?
黒田:女性、男性はどういう生き物かというのを学びにいったんです。
原始時代レベルの話ですが、男性は狩猟へ行き、女性は集団でいる習性がある。
その中からはぐれないように共感して生きていく生き物。
否定されるのが苦手な生き物。
だから、髪型を決める際も 「わかる。わかる!」と一度肯定して、否定はせず違う方向へ持って行く。
「でも、こっちの方がよくないかな?」って感じで。
男性はプライドの生き物だから、その人が好きなものを立ててあげる。
サーフィン好きの人なら「サーフィンいいですよね!」とか、時計コレクターの人なら「その時計カッコイイですね」とか。
その人のプライド、護りたいものを立てながら接客する事ですね。
これは接客だけではなく、人付き合いにもいえることで、女性と付き合う中でも共感してあげる事が大切なように、接客も同じ事です。
高橋:お店としてはお客様が気持ちよくなれる事が一番大切ですね。
昔、有名店にいた頃に喋らないけど技術は上手い人と、喋るけど技術の低い人がいて、何故か喋る人の方が売上が良かったんです。だからコミュニケーションって大切だなって思います。
でも距離感が大切だと感じてます、この話をしたら盛り上がるって分かっていてもあえてしない。機嫌を取るような事も無いですね。TPOにあわせた会話や接客が大切だと思うんです。やっぱり距離感ですよね。
黒田:自分が盛り上がってしまったら 負け。お客様が楽しんでないんじゃないかな?
話しすぎると最終的には「ウザイ」になってしまうんだと思う。
そうすると次に行くと「また 根掘り葉掘り聞かれるんじゃないか」とか、警戒して来づらくなるから。
高橋:コレってアシスタントにありがち。ウザイと思われちゃいますね。
−nagRAPHの読者世代は中間管理職が多いのですが、オーナーとして従業員とのつきあいかたで気をつけている事は?
高橋:最近人数が増えてスタッフが30人くらいになりました。
ウェディングのヘアメイク事務所も始めたので。
そんななかで「あの子がこういってました」的な従業員同士の陰口が始まった。
「あー、ついに来たか」って思いましたね(笑)
人数が増えるとスタッフ内のストレスも増えますからチームとして先輩が後輩をきっちり見る。後輩はきっちり話を聞くことがやっぱり大切だと思います。
でも、後輩の要望や意見をしっかりと聞く人間は必要だと思う。
そうなると、媚びそうになってしまう自分がいるんですよね。
それが嫌なんで、意見は聞くけど媚びないように気をつけています。
なので、一人の従業員に依存をしないようにしています。
信用しているけど、何かあったら最悪は独りでやる覚悟はあります。
黒田:今思えば つらかった時期は後から見ると楽しかったりする。
仕事に対する姿勢は自分で示していかなきゃいけないが、背中がすべてだと思う。
それが一番の教育。
昔から使い古された言葉だけど、焦るよりも、積み重ねが大切。
そういう言葉って本当に大切ですね。
「報われる為に仕事をする」で、「いつかは報われる」じゃない。
結果から逆算していく事、着地点を設定してやる事が重要ですね。
自分の心が綺麗である事が大切。
人を綺麗にする仕事だからなお更ですね。
如実に仕上がりにでます。そういう事を下の子たちにも言い聞かせています
とにかく地道に頑張っていくべき。人づくりから取り組んでいます。
高橋:髪型にしても、何にしてもお客様主導。これが1番大切です。
自己満足で「頑張ります!」って子は すぐに辞めちゃう事が多いです。
高い意識を持っていても 結局は長く続かなかったり、文句につながったりする。
下の子が努力し続けられるような目標に、自分自身が居続けないといけないですね。
余談
黒田:囲まれるのやだなぁ。緊張するよね。いつもは撮る側なんで。
高橋:本当ですね、やっぱりこっちの人にはなれないな。。。
黒田博幸
(有)美容室 倉重信輔、美容室ミマカを経て、1997年5月「ガズルヘアー」にてサロンディレクターを務める傍ら、一般誌・業界誌・セミナー等で多忙な日々をおくる。
カットには定評があり、ミリ単位までのこだわりを持って創りあげていく。
(株)マンダム ギャツビー共同開発商品『ムービングラバー・シリーズ』プロデュースや、(株)資生堂プロフェッショナル・ヘアカラー研究チーム『ジベルニークラブ』にも所属。
精力的に一歩先の技術に取り組み続けている。
Works [雑誌]
JJ、ViVi、Ray、CanCam、マイン、With、mina、VoCE、ar(アール)、Grazia、Men's Non-no、Smart、Fine boys、Boy Rush、Get On、BiDan、モテワン、チョキチョキ、ヘアカタログ誌全般、日刊スポーツ等 他多数
各プロジェクトで、現在も活動中。
TAKAHASHI
ヘアサロンSTEREO Gn゜ディレクター。
東京のサロンでの経験を経て、フリーのヘアメイクに。
ファッション誌、広告を中心に、大森南朋など俳優を手がける。
サロンワークの傍ら、東京・名古屋でヘアメイクとして活動。
2004年に八事店、2007年には矢場店をオープン。
月刊Kelly誌にて連載ページも持つ。
works [雑誌]
mini、CUTIE、SUPR、FRAU(講談社)、VOCE(講談社)、BRUTUS(マガジンハウス)、Invitation(ぴあ)、ami表紙(ゲイン・中日新聞社)
俳優・タレント
大森南朋、中村獅童、米倉涼子、イ・ビョンホン、石川亜沙美
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